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株式会社Globable様共同企画 第三弾!
「主体的に仕事を創る人」を育てる組織やその人材育成方法

DX推進に求められる「業務改善・改革」「価値創出」「新規ビジネスモデルの構想と実現」「推進部門の在り方」「部下・メンバーの育成」について、悩んでいらっしゃいませんか。自ら教育分野に問題意識を抱き起業したのち、長年、自治体や教育機関でのアントレプレナーシップ教育やキャリア教育に携わるグローバブル社の樋口氏がその重要なエッセンスを3つのテーマでまとめました。

第一弾 「デジタル活用」の前に知っておくべき新規事業企画・新商品開発の基本
第二弾 「今の仕事」って何?AI導入の前に考えなければいけないこと
第三弾 「主体的に仕事を創る人」を育てる組織やその人材育成方法

第三回目は、【「主体的に仕事を創る人」を育てる組織やその人材育成方法】と題し、これまで樋口氏が文献や、研修を行い受講者の方とコミュニケーションを経て得た知見や考えを皆さんと共有していきたいと思います。

今回は・・・

DX(デジタルトランスフォーメーション)」を推進する中で、DX推進者やリーダーが抱えている悩みの一つとして、組織の在り方や人材の育成、一人ひとりのマインドチェンジに関わることが多くあると推察します。もちろん「こうすればうまくいく」といった正解はありません。様々なことを試みながら、自社や自組織に合ったやり方を模索していく形になると思いますが、「メンバーや部下が主体的に新たな価値を創出する」といった組織風土を育てるヒントとなるものを、いくつかお話したいと思います。

■ まずはリーダーや推進者の意識として持っていたい「グロースマインドセット」

マネジメントに携わっている方であれば、「グロースマインドセット」という言葉はお聞きしたことがあるかもしれません。部下育成などの理論の一つとして紹介されることが多いと思います。
スタンフォード大学心理学部教授のキャロル・S・ドゥエック氏は、「グロースマインドセット」の概念を1988年頃から論文の中で扱い始めていますが、一般的に知られるようになったのは2006年出版の「Mindset: The New Psychology of Success(邦題:マインドセット「やればできる! 」の研究)」においてかと思います。
例えば、「新しいアイデアを生み出す力」は生まれ持った才能だと捉え、それは伸ばすことができるか否か、と問われたとき、皆さんはどう考えますか。

 Ⅰ 「新しいアイデアを生み出す力」は、訓練次第で育てることができる
 Ⅱ 「新しいアイデアを生み出す力」は、才能なので訓練しても育てることができない

このような考え方の違い、生まれ持った基礎的な能力が変化すると考える人、変化しないと考える人で行動パターンが変わると言われています。
訓練次第で能力や力が変わると考える人は、何かできないことがあっても「今はできない」と考えます。一方、訓練で能力や力が変わらないと考える人は「自分はできない」と考える傾向にあります。根本にある捉え方次第で、その後の考え方や行動のスパイラルが大きく変わるのです。

「才能は伸びる・変化する」という信念を持っていれば、成長するための行動を選び、「挑戦・失敗」を恐れず突き進むことができます。時間がかかっていたとしても、”結果的に”より高い成果を達成できる可能性があります。
一方、「才能は変化しない」という信念の場合は、「自分の優秀さを示す」ことができる範囲での行動を選びます。失敗や挑戦を恐れてしまうので、”結果的に”早い段階で成長が止まってしまうのです。

物事を推進していくリーダーや人を育成する立場としては、自分に対しても、自分が育てるべき周りに対しても、まずは「グロースマインドセット」の姿勢を持っておくことが必要だと考えています。

■ イノベーティブな思考になることを試す・習慣化できる環境を整える

第一弾    【「デジタル活用」の前に知っておくべき新規事業企画・新商品開発の基本】で、デザイン思考の活用について述べました。デザイン思考について、価値創出、アイデア創出する際の基本的な思考法としてご紹介をしております。一つはやはり、そういった思考法を試したり、定期的に組織内で実施したり、少しずつでも習慣化できるように実践してみていただきたいと思います。
実践いただく際に大事なのは、メンバーと共通認識をもって、意図的・意識的に実施することです。

例えば「枠から外れた思考」の練習の時に一番の障害になるのは「枠にはまった思考」です。何となく創造的になることを期待するのではなく、「今、この瞬間は枠から外れて考えてみよう」と他の思考や視点が入り込まないように短時間で意図を持って取り組むことが重要です。また現状がどの検討段階のフェーズであるのか、ということを仲間とコンセンサスをもって進めていきましょう。

もう一つ、ここでご紹介するのは、「スカンクワーク」というアメリカで生まれた文化的な話です。
この「スカンクワーク」とは本業以外の従業員の活動のことで、従業員が企業に秘密にしたまま自主的に行う活動や、企業から特命を受けた極秘プロジェクトなどをこう呼ぶことがあります。社員が自主的に業務外の活動を行うことを奨励することで、新しいビジネスの可能性や革新的なアイデアの創出を目指すものです。

まずは「業務以外のことに使う時間があってよい」と容認するということが大事です。また、そういった活動から出てきたアイデアや提案を気軽に共有する場を設ける。逆にスカンクワークを行った結果、アイデアや提案といった発信が出てこなくても、それはそれでよい、といった緩やかな空気感を組織につくることが大切です。その取り組む物事の範囲ですが、完全に個人的な趣味で、という事柄は組織に属すとなれば許可しがたいでしょう。
しかし、「社会や組織運営に役立つこと」や「こういったことを改善すればもっと良くなるだろう」などの観点から、「試してみたい」「考え方を変えたら面白そう」など、ゆくゆくは社会や組織に貢献できそうなことであればまずはやってみる、という感覚が大事になると思います。すぐに成果や形にならないとしても、そこで学んだ技術や知見が、他の仕事で生きる、ということもあるだろう。時にはそのような寛容的な気持ちを持ったリーダーがいることは、組織文化にいい変化をもたらすかもしれません。

■ 個がアイデアを出す力を高める

リーダーが意識の変化や環境の向上に対し努力することは大前提として、同時にメンバー個人の力も高めたいところです。
デザイン思考などの活用を繰り返し行っていく中で、個人の創出的な思考は高まっていくと考えています。それを後押しするために、本来「アイデア」とは何か、といった本質的な考え方にも触れておきたいと思います。
昨今のDX推進を行うにあたって「価値創出」「新規事業の開発」などのキーワードが飛び交いますが、皆さんの中では、アイデアと聞くと、「今までに全く思いつかなかったこと」を考える、ゼロベースで生み出す、といったイメージが強い方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 

私の今までの人生の中で、最も感銘を受けたものの一つにジェームス・W・ヤングの「アイデアのつくり方」という本があります。その中で「アイデア」とは、「既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と述べられています。
(出典:著書ジェームス・ウェブ・ヤング「アイデアのつくり方」今井茂雄訳 竹内均解説)
 
すなわち、既にある技術や知見の1+1ないしは1×1の組み合わせ、掛け合わせでよいということです。そう考えると、今からでも生み出す準備ができそう!という気がしてきませんでしょうか。フォード・モーターの創設者であるヘンリー・フォードが、ベルトコンベア方式によって自動車の大衆化に成功した話は有名ですが、この発明も「専門の作業員が横に移動する従来からある組立ライン」と「食肉処理工場での肉の方が動く仕組み」の組み合わせからできています。
組み合わせる検討材料は多ければ多いほど、可能性も広がると思います。業務に直接かかわることだけではなく、様々なことに興味を抱く中で得た知識や知見が、アイデア創出に役立つこともあると思います。先に述べたスカンクワーク的な文化や環境も、そういった個人の見識を高めるには有効に働きそうです。

新たなアイデアを生み出す、価値創出をする、ということに対し、特別な能力が必要、ゼロベースで考える、と難しく考え過ぎず捉えることで、もっと気軽に物事に向き合い、取り組むことができるかもしれません。
アイデア創出の力をより高めるために、ぜひ、ご紹介した文献の中の、アイデアを作る手順についても、ご参考にしていただけるとよいと思います。

ここまで、全3回に亘ってDX推進に関する重要なエッセンスをお話してきました。皆様の組織で活用できそうな材料はありましたでしょうか。
上で述べた知識の幅を広げるためにも、私は趣味で生物学の書籍をよく読むのですが、ビジネスの創出は、「進化論」の原理と似ているなぁと感じる事があります。地球が誕生してからランダムに様々な生物が生まれては消え、今日を迎えます。ビジネスにおいても、様々な事柄が生まれ、環境や社会の変化によって淘汰されていく。成功を成果と呼ぶならば、その判断は一瞬であり、されど永遠に残る者でもある。新たなものを生み出すことの最終的な成果は、ずっと先にならなければわからないことかもしれません。なので、恐れずまずはやってみるという気持ちが大事なのではないか、と私自身は思い、取り組み続けています。

今回の内容が、DXを推進する皆様や組織の意識変革や、成果に繋がる材料の一つになれば幸いです。



話し手:株式会社Globable 代表取締役 樋口 匠 (Takumi Higuchi) 氏

運用系エンジニア・学習塾教室管理者を経て、2012年、演習中心の企業研修を提供する研修会社(株)グローバブルを創立。社会人向け研修だけでなく、大学の地域連携・企業連携のサポートや自治体の起業家支援イベントの運営、中学生・高校生の課題解決教育・キャリア教育などにも携わる。
創業当初より研修設計・教材開発を担当しており、その経験を元にした新商品企画やビジネスプラン作成教育を小学生から社会人まで広く提供している。

インタビューア、記事制作:株式会社ウチダ人材開発センタ 販売促進課

● 関連研修

厚生労働省委託事業 株式会社ウチダ人材開発センタ主催
令和6年度「DXによる新規ビジネス創造のためのビジネスアーキテクト育成講座」

たくさんのお申込み、誠にありがとうございます。
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一社向けビジネスアーキテクト育成研修のご提案も承っておりますので、
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令和5年度「DXによる新規ビジネス創造のためのビジネスアーキテクト育成講座」受講者の声はコチラ
https://lms.emanabi.jp/bissarch/download/jukousya.pdf

第一弾、第二弾の記事はこちらからご確認ください!
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株式会社Globable様共同企画 第二弾! 「今の仕事」って何?AI導入の前に考えなければいけないこと

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