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どすこい、ウチダ部屋! 人材育成の決まり手!
~「チームビルディングが難しい!」~

東京両国、国技館の近くにオフィスと研修室を構える弊社は、大相撲の場所毎の賑わいに季節を感じ、力士の方々の往来も馴染みの風景です。愛着ある地元にちなみ、人材育成に関するトピックスを「ウチダ部屋」からの発信という趣向でお届けします!

~「チームビルディングが難しい!」様々な価値観やスキルを持った人材と共にプロジェクトを成功に導くために必要なリーダーシップとは~(2023年6月発行)

今回のお悩み事

社長発信、社内公募制で、新プロジェクトが発足した。プロジェクトの目的は、「社内のDXを推進する」。様々な部門から人が集まり総勢10名弱の規模、自身はそのリーダーとして社長から任命された。営業、管理、システム部門など、その職種は多種多様だ。それぞれ意気込みがあり、第一線で活躍しているメンバーだけに何かが成し遂げられそうな期待もあるが、それぞれの考え方や思いもバラバラ…。さぁ、どこから始め、どのようなことを意識しながらリーダーシップやコミュニケーションを発揮すればよいだろう。

今回の決まり手!

新プロジェクトのリーダー着任、おめでとうございます!期待と不安が入り混じる、そんな心境でしょうか。通常の業務もある中で、普段は接しない部署、役割、立場の方と一緒にプロジェクトを進めていくのは、わくわくする一方、大きな責任や業務とのやりくりなどの心配事も押し寄せてくるだろう、とお察しします。

プロジェクトのスタート時にリーダーの役割として大切なことは、「プロジェクトに対してリーダー自らの本気度を高め、メンバーの期待感をつくり、やる気を引き出すこと」に尽きると考えています。その為の手段の一つとして今回の決まり手、ご紹介していきます。(なお、今回「スキル」に該当する「プロジェクトマネジメント」の専門性に関しては触れておりませんので、ご了承ください。) 

■決まり手1 プロジェクトオーナーの思いや期待感を確認しよう
■決まり手2 具体的な行動レベルを示し、考えやプロセスを可視化できるようにしよう 
■決まり手3 意見を活性化する手法を試してみよう 

■決まり手1 プロジェクトオーナーの思いや期待感を確認しよう

プロジェクトのテーマは「社内のDXを推進する」ということですが、どのようなゴールを描いているかは、スタート時点ではプロジェクトオーナーである社長しかわかりません。まずは社長が考えるゴールの絵を同じ解像度で共有できるくらい、しっかりと聴いてみる、確認してみることが大事です。

そして、あなたがリーダーに任命されたとき、またメンバーがプロジェクトに関わる指示を受けたとき、みんなが思うのは、「なぜ自分が?!」という気持ちです。プロジェクトオーナーがリーダーやメンバーを選抜したなら、そこには何らかの意図があるはずです。プロジェクトオーナーが認識しているそれぞれの役割や期待、そういった面にも目を向けて確認してみましょう。

もし、リーダーがこの点をスルーして、プロジェクトのゴールや社長の意図・期待を認識できず腹落ちしない状態で進めてしまうと、リーダー自身もプロジェクトに意識が向かず、主体性、積極性が発揮しきれず、ドライブがかかりません。

まずはリーダー自身がしっかりプロジェクトの目的や自身も含めたメンバーへの期待、役割を認識し、そしてそれを全体で共有していくことが大事です。メンバーと共有し、理解を得る。このプロセスを丁寧に行うことで、メンバーにもスイッチが入り、そのあとの工程も協力を得やすく、進めやすい状態が作り出せると考えます。

■決まり手2 具体的な行動レベルを示し、考えやプロセスを可視化できるようにしよう

こういった協働が必要なプロジェクトを進めていく中で、基本的な事でありながらも、本当に大切になってくるのがメンバー間の「情報発信」「情報共有」です。ここでは「情報発信」「情報共有」について2つの視点で考えていきましょう。

一点目は、リーダーが「手本を示していく」ということです。
言葉で「情報発信、情報共有をしていこう」と伝えただけでは、「どのような情報をどれだけの広さや深さをもって発信したらよいか、共有したらよいか」、ということがいまひとつよくわかりません。
リーダーが自ら実践することによって、求めている情報の範囲やレベル、必要な視点について、メンバー自身が気づくきっかけとなります。そして、メンバーが自ら情報発信を行ってくれたとした時は、タイムリーにフィードバックしてあげてください。これらを繰り返し行っていくことで、メンバーの士気が上がり、お互いの信頼関係も高まっていくはずです。

二点目は、「情報発信」「情報共有」を活性化し、より効果的にしていくためにも、意見や情報をわかりやすく可視化できるツールの活用を検討してみていただけたらと思います。
少しネットで検索すれば、無料のサービスも含めた、多くの特長ある情報共有ツールが見つかります。もちろんセキュリティには気を配る必要がありますが、プロジェクトの特性に合わせて、使いやすさを重視したものや、クリエイティビティに特化したものなど、活用を促すのもリーダーの役目です。

うまく活用しながら、メンバーの意見を引き出していく、そしてそれを周りに伝わる方法で残していく、こういった観点もメンバーの取り組む姿勢をより前向きにしますし、また自分の意見が上手に可視化されてプロジェクトの内外に発信されていくことは、メンバーのみならず組織全体の注目も引き付けることができるのではと考えます。

■決まり手3 意見を活性化する手法を試してみよう

プロジェクトが始まって、「さぁ!皆で意見を交わしていこう」と思って臨んでも、「場が活性化しない」「メンバーが言いたい事だけ言って終わってしまう」などの状況があるかもしれません。

このような状況に陥らないように、リーダーは意見交換を活性化させる方法を事前に学習し、使えるようにしておく必要があります。いくつかの手法を持ち合わせておくだけでも、様々な視点を提示し意見を引き出すことができます。

例えば、有名な手法としては「ブレーンストーミング」がありますが、より考えを切り出しやすい方法として「シックスハット法」「オズボーンのチェックリスト」の2つを紹介します。

「シックスハット法」とは、水平思考で有名なエドワード・デボノ博士が生み出した思考法の一つです。色が異なる6つのハット(帽子)を、チーム内でそれぞれ被ったことを前提に話し合いを展開していきます。その6つの色にはそれぞれ意味があり赤い帽子は「主観的」、青は「冷静」、黄色は「楽観的」などです。それぞれの視点で意見を述べていくことによって、考えが偏ることなく、意見が展開される、といった効果をもたらします。

「オズボーンのチェックリスト」は、ブレーンストーミングの生みの親オズボーン・アレックス氏によって考案されました。何か一つのテーマやアイディアに対する議論を深めていく際の視点として「転用」「応用」「変化」…「結合」などの9つの視点でアイディアを練っていくというものです。

「何か意見はありませんか?」と話を展開しても意見交換が難しい場合は、こういった手法も知っておくことで発言しやすい場づくりを作り出すことができます。

今回ご紹介した3つの決まり手について、特にプロジェクトの始動時に意識的に活用をしてみることで、リーダーの本気度が伝わり、メンバーのプロジェクトに対する意気込みや主体性も醸成されていき、プロジェクトの一体感を生み出すことができるのではないかと考えます。

それぞれ専門の業務も持ちながらも活動を活性化させていき成果を生み出すことは簡単なことではありませんが、こういった工夫の積み重ねがまずは参加意欲を高め、積極的な気持ちにさせてくれるのではないかという期待を込めています。

プロジェクト運営や協働での取り組みの運用に悩んだら、今回の決まり手も参考にしていただければ幸いです。どすこい!

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